【レポート】島と島の間、花と月(とみかんと虫とうちわ)ー能古島と4人の香港アーティスト
2026.05.08
レポート
2026年4月18日(土)から4月26日(日)にわたり、Artist Cafe Fukuokaが共同開催者となり、福岡・能古島のアーティスト・イン・レジデンスで滞在制作を行った、香港のアーティスト4名による展覧会「島と島の間、花と月(とみかんと虫とうちわ)ー能古島と4人の香港アーティスト」を開催いたしました。








展覧会初日には、アーティストによるガイドツアーを伴うオープニングレセプションを開催しました。残念ながらシャーリー・ツェは参加が叶いませんでしたが、フィービー・マン、ウォン・カ・イン、サラ・ツェがそれぞれ自身の作品前で解説を行い、来場者に向けて制作背景やテーマについて詳しく紹介しました。
その後のオープニングレセプションでは、作品に関連した食べ物を囲みながら、来場者とアーティストによる交流が行われました。




※写真はACF提供
本展覧会について
作家たちは、「島」という共通の背景をもとに、食、ギフト、労働、空間など日常に根ざした視点から作品を展開しました。能古島で育てられていた柑橘類や、アメリカで桃の木を育てていた故人の記憶を重ね合わせた作品や、地域住民へのうちわ配布、食の記憶、小学校の記憶を題材にした作品などを展示しました。
会場では、みかん、虫、うちわといった身近なモチーフを通して、福岡と香港、過去と現在をつなぐ対話的な空間が生まれ、来場者が土地や記憶について考える機会となりました。
アーティストより
Phoebe Man フィービー・マン:展示テーマは来場者からも好評を得て、日本の好きな食べ物や能古島での体験について共有していただくなど、活発な文化交流の機会となりました。私の作品はコミュニティとの関わりを重視したものであり、来場者は作品紹介に熱心に耳を傾け、制作にも積極的に参加しました。好きな食べ物や飲食店、食にまつわる思い出、人それぞれの食の楽しみ方などを共有していただき、来場者によるドローイングも非常に印象的で、多くの学びを得ることができました。創作活動を通じて、多くの来場者が10〜30分ほど会場に滞在し、84名が作品制作に参加し、自身の作品を展示空間に加えました。この共有型の活動を通して、来場者との交流だけでなく、他のアーティストの展示について紹介する機会にもつながり、協働的な創作体験を完成させることができました。
Wong Ka Ying (KY) ウォン・カ・イン:Artist Cafe Fukuokaの継続的な取り組みと、今後さらなる行政的・戦略的支援が加わることで、福岡はアジアを代表する国際的な芸術交流拠点へ発展する大きな可能性を持っていると感じました。今回のプロジェクトに対して多くの来場者から好意的な反応と高い関心が寄せられたことを踏まえ、Artist Cafe Fukuokaと香港が連携した長期的なアーティスト・イン・レジデンス事業の構築を強く提案したいです。Artist Cafe Fukuokaが持つ運営面での強みを活かしながら、両地域における継続的な文化リサーチや創造的な協働を深めていくことが期待されます。
Sara Tse サラ・ツェ:私の作品は、自身の母校に関するプロジェクトとして10年間取り組み続けているものであり、今年1月には香港のCHATにて大規模な展示を実施しました。今回、Artist Cafe Fukuokaのグランドスタジオという、かつて学校の講堂として使用されていた空間で展示できたことは、作品テーマとも深く重なり、非常に意義深い機会となりました。また、日本の来場者と直接交流できたことも大変印象深く、貴重な体験となりました。最終的に、本展は大きな反響を得ることができ、学校や植物をテーマとした作品は来場者の共感を呼び、多くの好意的な感想をいただきました。
Shirley Tse シャーリー・ツェ:能古島・湯花遊月で始まった本プロジェクトを、福岡の地域の方々に向けて発表できたことは、非常に意義深い経験となりました。これまでもレジデンス終了時に作品を展示した経験はありましたが、その後もプロジェクトを継続して発展させ、改めて地域コミュニティへ共有する機会は非常に貴重であると感じています。また、展示に関連したコミュニティイベントが併せて実施されたことで、より深い文化交流につながったと考えています。
キュレーターより
長谷川仁美:展示期間、私も一日在廊しましたが、観客の皆さまもとても思慮深い素敵な方が多く、海外の方もきていただき、展示を楽しんでいってくださいました。あるお一人の方は、フィービーのお父様とのスープの思い出のお話をしたところ、ワークショップでご自身の亡くなったおばあさまの牡丹餅の絵を書いていかれ、涙を流していらしたのが印象的でした。シャーリーのアメリカの移民の労働の話、お母様との思い出の桃と能古の柑橘を合わせたプロジェクト、そしてKYの美味しくないヨーロッパのチョコレートなど、植民地的なディスコースが我々の生活のすぐ隣にあることについても感慨深く見ていただけたかなと思います。サラの廃校になった学校のプロジェクトも皆さん驚きと懐かしさを持って鑑賞していただいたようで、すごい!とおっしゃっていた新聞記者の方もいらっしゃいました。総じて観客の方の覧る姿勢、受け取る、そして参加するお気持ちが素晴らしいと思えた展覧会でした。アーティストも、サラさん以外は福岡を意識した作品をギャラリーでは展開していましたから、親しみやすかったと思いますし、サラのプロジェクトも廃校になった学校で学校のプロジェクトを実施することができ、それは文脈に合ったものでした。アーティストの皆さん、フィービー、KY、サラ、そしてシャーリーの、ご自身の時間と労力、旅費などを顧みず、純粋にこのプロジェクトを実現させたい、という、言葉にはしないけれども強い気持ちに私も引っ張られてお手伝いできたと思っています。ありがとう。そして繰り返しになりますが、Artist Cafe Fukuokaのスタッフの皆さんが助けるお気持ちが温かくて、働きやすかったです。ありがとうございました。
開催概要
会期 2026年4月18日(土)〜4月26日(日) (月曜休館)
時間 11:00〜19:00
場所 ギャラリー、グランドスタジオ
料金 入場無料
共催 Artist Cafe Fukuoka
開催概要
| 名称 | 島と島の間、花と月(とみかんと虫とうちわ)ー能古島と4人の香港アーティスト |
|---|---|
| 期間 | 2026年4月18日(土)〜4月26日(日) |
| 時間 | 11:00〜19:00 |
| 場所 | ギャラリー、グランドスタジオ |
| 料金 | 入場無料 |
- 共催
- Artist Cafe Fukuoka
- 協力
- 遊花遊月(FIKA)、Ash Lam (デザイン)


